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ドイツ旅行記2017⑦~7/29-30帰国まで

[7/29] ハンブルク

雨時々曇り(のち一時晴れ)。今日が実質最後の日だが、朝から雨。昨日のような激しい通り雨もあった。

まず一軒残っていた書店 Lüders へまっすぐ出かける。中央駅からも市庁舎広場Img_4365_2からもUバーン(地下鉄)に乗らないと行けない所、でも書店めぐりをしようと思うきっかけを作ってくれた書店だったので、ぜひ行っておきたかった。場所はUバーンのオスターシュトラッセ駅を上がった正面にあった。店構えからして、長年この地に根づいてきた書店だとわかる。奥行きが広く、入口近くは新刊本、奥が古書となっている。高い書棚には梯子がかけてある。1930年代ぐらいを描いた映画などに登場するクラシックな店の雰囲気がそのままだ。もちろん日本語の本を買うようなわけにはいかないし、私程度の語学力では手に負えないものばかりだけれど、例えばトーマス・マンなどの古典にしても、初版本の装丁のものが、ごく普通に何冊も並んでいる。ここではE・T・A・ホフマンの「ちび助ツァッヒェス」を入手(版画のカットが素敵だったので買ってしまった。6ユーロ)。

それから、まだちっともゆっくり散策できていなかった街なかを歩くため、中央駅に戻る。おみやげ目当てに表通りを歩いて店を覗いたりもしてみたが、ガイドブックに載っていた物でも自分が興味がないので選べず、入っては出るの繰返し。ちょっと焦りが出始めたところで、オイロパ・パサージュ(ショッピング・モール)の Thalia に行く。これが当たりだった。Thalia はもちろんドイツ最大の書店チェーンなのだけれど、雑貨もたくさん置いている。ハンブルクでは、この店自体が名だたるブランド・ショップがいくつも軒を連ねる駅前の目抜通りにハンパない風格でどしんと腰を据えていて、売っている雑貨も(ハンブルクみやげと称する物ですら)町のおみやげ屋みたいな安っぽい品は皆無なのだ。かといって、決して高級すぎて手が出ないわけでもない。ハンブルクでおみやげ探しに困ったら、一度 Thalia を訪ねてみることをお勧めしたい。

H_portさて、用事も済んだので、せっかくハンブルクへ来たのだからと港へ行ってみた。かなりの賑わいだ。日本語も聞こえてきた。あのビルが林立するおしゃれな区域からわずか二駅ほどで、清々しい海の男の町が姿を現わす。これがハンザ都市ハンブルクの魅力だなあ。

そこから歩いて聖ミヒャエル教会の方へ。土曜の午後なので、礼拝があるのかたくさんの人、そして鐘楼の鐘が鳴り渡っていた。前回閉まっていてメモに残しておいた古書店が、今日は開いていた。1948年創業というH_mAntiquariat Reinholt Pabel 。教会の目の前にあり、年配のご夫婦(と、どでかいバーニーズ・マウンテン・ドッグの看板犬。寝そべっているだけだったけど)がこつこつと真面目に一途にやってこられた趣のある店だ。ここでも一冊ホフマン関係の本を買ったほか、本専用のトートバッグ(Büchertascheを買った。「本を読もう、ここへ君の“今日の一冊”を入れて出かけよう」と読書を促すメッセージ・バッグだ。よそでも売っていたけれど、デザインがいちばん気に入った(下の写真)。こういう物を見ると、「電子書籍がなんぼのもんじゃ」という書店業界の心意気を感じるなあ。

H_tasch1_2バルラッハを見るために幾度も訪れているドイツだ。でも今回のハンブルクは、書店めぐりという別の切り口で計画したのが意外に楽しくて、充実した時間を過ごせた。新刊本はともかく、古本はお国の違いはあっても、どこも店主の思い入れがのぞいて面白い。ほこりをかぶっていたり破けていたり印刷がかすんでいたり、そんな捨ててもいいようなものばかり集めて並べる店主、そしてわざわざそれを求めてやって来る客、同じ趣味を持った者じゃなきゃ理解できまい。だから逆に、言葉がわからなくても楽しめてしまうのだろう。初めてハンブルクを、バルラッハ抜きのハンブルクとしてまた訪れたいと思った。こう思わせてくれたこの街と店主さんたちにお礼を言いたいと思う。

 

[7/30] 帰国

天気はついに最後まで回復しなかった。時間に余裕をもって出たこともあり、厳しい手荷物検査(荷物だけでなく全員身体検査までされた)も、早めに無事クリアしてゲートへ。ところが、飛行機がゲートにいない!折返しの便の到着が遅れていて(後で聞いたら、エンジンの故障で別の機を手配していたとのこと。ゾッ!)、そこにまた雷雨。このダブルハプニングでフランクフルト行きは40分遅れ。出国審査も受けなきゃならないのに。それにあの広大なフランクフルト空港の移動(「○○ゲートまで(ここから徒歩で)10分」とかの表示があるほど)。ああ、乗換時間を2時間取っておいてよかった!幸い、到着してから乗換口までの表示はわかりやすく、出国審査場もすいていたので無事関空行きには間に合ったが、全く最後まで気が抜けない旅だった。

今回の旅を振り返ってみて、充実はしていたがやはりキツい行程だったと痛感。バルラッハの彫刻のためならどこまでもと、やや無茶な計画もこれまで幾度となく強行してきたが、今回のエバースドーフ行きでそれも一段落したかなと思う。今後のドイツ行きは、ギュストロウとハンブルク滞在を中心に組み立てていくことになるだろう。ハンブルクに一週間位滞在して、その間に方々のバルラッハゆかりの町(ラッツェブルクやシュレースヴィヒなど)に日帰りでお出かけ、といった風に。これからは、何度でも通ってゆったりと彫刻たちと対話できる旅にしていきたいと思う。

ドイツ旅行記2017①

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コメント

こんにちは
今日の午前中に、あなたのドイツ旅行記を通読させて頂きました。興味深い記述をいくつも発見しました。
私は、かつて関西に住んでいたころ、姫路のケーテ・コルヴィッツ展、京都のバルラッハ展に数回通いました。というのも、あなたと同じで、かれらの作品に強く魅かれていたからです。実際、シュレスヴィッヒやキールでバルラッハの作品を初めて見た時(25年以上前のことですが)には、これがドイツ人の作品なのかという思いを強く覚えたものでした(旨い表現ではありませんね)。
私は、ドイツ中世史と教会建築に関心があり、かの地をあちこち歩いているのですが、昨年たまたま立ち寄ったケルンのSt.Antioniterで、バルラッハ作品をいくつか見せて頂きました。あなたも書いていらっしゃるとおり、教会ではバルラッハ作品を増やしているようですね。あなたが、ご覧になったと画像で紹介されている以外の作品もありました。
感想を書きたかったのですが、自分の体験を記してしまいました。どうぞ、これからも目的のあるドイツ旅を続けてください。

投稿: ifukuda | 2018年5月26日 (土) 12時33分

ifukuda 様
コメントをありがとうございました。そうですか、ケルンの教会はバルラッハの作品を増やしているのですね。嬉しい情報でした。
ドイツにはよく行かれるのでしょうか。教会建築がお好きということですが、ギュストロウにも行かれましたでしょうか。ケルンの大聖堂のような壮麗さは薄いですが、古い素朴なゴシック建築です。北翼にあるバルラッハの“天使”にも、是非会いに行っていただければと思います。
ご覧になった彫刻や教会のご感想なども、またお聞かせください。

投稿: まあしゅ | 2018年5月27日 (日) 15時20分

前回は、早々と返信をくださり、有難うございました。
前回、アントニータ教会のバルラッハ作品が増えたと書きましたが、あれが本当に彼の作品だったかどうか、ちょっと気がかりになり(一つは確実ですが、もう一つがちょっと不安)、ドイツ語版のウィキペディアで、同教会を検索したのです。でも確認できませんでした。ただ、そこに記してあった下記のアドレスに飛ぶと、アントニータ教会の内部動画(教会建築マニアにはたまらない)と、これに続けてバルラッハ作品の45分程の動画を見ることができます。これは北ドイツ放送の制作なのでしっかりした作品でした。すでに、ご承知かもしれませんが、お知らせまで。

https://www.youtube.com/watch?v=VZL8GUHKeVE

私は、今年も渡独の予定ですが、6月の予定だったのが、いろいろあって延期です。

投稿: ifukuda | 2018年6月10日 (日) 15時59分

ifukuda様

色々調べていただいてありがとうございます。見てみます!
ドイツへにもたびたび行かれているのですね。私も来年は行きたいと考えています。今は長期滞在が難しいため、バルラッハを中心にスケジュールを組むと、各地を訪れるのは困難ですが、いつか時間が許せば、ケルン、ベルリンはもちろん、ハーメルン、トリーアなども行ってみたいですね。
どうぞ充実した旅を。よろしければ、お土産話などもお寄せ下さい。

投稿: まあしゅ | 2018年6月20日 (水) 11時12分

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